〜眠れない、起きられない…夏特有のリズムの乱れにどう対処するか〜
はじめに
夏になると、「なかなか寝つけない」「朝早く目が覚めてしまう」「昼間に眠くてぼーっとする」といった睡眠のトラブルを感じる方が増えてきます。特に、精神疾患をお持ちの方は、季節による体内リズムの変化に敏感であり、睡眠障害が気分の不安定さや体調悪化につながることもあります。
この記事では、夏の「日照時間」が私たちの体内時計(概日リズム)にどのような影響を与えるのか、また、精神的な不調を悪化させないための睡眠対策について、訪問看護の視点も交えながらご紹介します。
夏の睡眠障害と「日照時間」の関係
1. 日照時間が長くなることで起こるリズムの乱れ
夏は日の出が早く、日没が遅くなるため、自然光を浴びる時間が長くなります。これは一見良いことのように思えますが、次のような影響を及ぼします。
- 朝早く光を浴びることで睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が早まる
- 夕方になっても明るいため、脳が「まだ昼間」と錯覚して眠くなりにくくなる
- 結果として、「早朝覚醒」「寝つきの悪さ」などの睡眠障害が生じやすくなる
2. 精神疾患との関連性
- うつ病や双極性障害の方は、体内時計の乱れによって、気分の変動が激しくなることがあります。
- 統合失調症の方では、睡眠の乱れが幻覚・妄想の悪化を招く可能性も。
- 睡眠がうまくとれないことで、昼夜逆転や生活リズムの崩壊が起こりやすくなります。
睡眠を整えるための具体的な対処法
1. 朝の光を“コントロール”する
- カーテンを遮光性の高いものにする
- 早朝に日差しが差し込まないよう、寝室の向きを工夫する
- 起床時間の1時間前から光が入る仕組み(タイマーライトなど)を利用するのも効果的
2. 夜の「入眠スイッチ」を作る
- 寝る1時間前からはスマホやTVの画面を控える(ブルーライト対策)
- お風呂・音楽・ストレッチなど、「夜の習慣」を取り入れることで副交感神経を優位にする
- エアコンや扇風機で室温を快適な睡眠環境を整える
3. 日中の活動とリズムを意識する
- 朝食をしっかり摂ることで体内時計を“朝モード”にリセット
- 午前中に軽い運動や日光浴(10〜15分)を行うと、睡眠の質向上につながる
- 昼寝は15〜20分以内にとどめることで、夜の睡眠への影響を抑える
訪問看護でのサポートのポイント
- 利用者の睡眠時間・質・日中の様子などを観察し、リズムの乱れを早期に発見
- 簡単な睡眠記録表や「起床時間だけは固定しましょう」などの目標設定も有効
- 医師に相談の上、必要に応じて睡眠薬やメラトニン作動薬の調整を支援
- 「眠れない=不安・焦り」になりがちな利用者には、「焦らなくて大丈夫」と声をかけることが大切
まとめ
夏の長い日照時間は、気づかぬうちに心身のリズムに影響を与え、睡眠の質やメンタルバランスの乱れを引き起こします。
訪問看護の現場では、睡眠状態の把握と日中活動の提案、環境調整の支援が重要な役割となります。
睡眠が安定すれば、心も体も自然と整っていきます。
ぜひ、この夏のケアに役立ててください。
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