~旬の恵みで、心と体にやさしい食事を~
はじめに
「食欲の秋」と言われるこの季節。涼しさとともに食べ物が一段と美味しく感じられ、旬の味覚が食卓を彩ります。
しかし一方で、精神疾患をお持ちの方にとっては、「何を食べたらいいのか分からない」「食べすぎてしまう」「食欲がわかない」といった食に関する悩みが秋にも存在します。
本記事では、秋の味覚を楽しみながら、栄養バランスを保つ食事の工夫について、訪問看護の視点も交えながらご紹介します。
秋におすすめの旬食材とその栄養
1. 主菜の主役:たんぱく質と脂質のバランス
- さんま・さけ・さば:青魚にはDHAやEPAが豊富。うつ症状や脳の働きを助ける栄養素です。
- きのこ類(しいたけ、まいたけ、しめじ):低カロリーで食物繊維・ビタミンB群が豊富。腸内環境改善にも◎
2. 副菜に取り入れたい:秋の野菜たち
- さつまいも・かぼちゃ:ビタミンC、E、食物繊維が豊富で、血糖値の安定や便通改善にも。
- れんこん・ごぼう:歯ごたえと香りで満足感があり、噛むことで精神的にも落ち着きやすくなります。
3. デザート代わりに:果物でビタミン補給
- りんご・なし・ぶどう・柿:抗酸化作用・疲労回復・整腸作用など、心身の安定をサポート。
- 食べすぎには注意しつつ、間食代わりに小皿で楽しむのがポイントです。
食欲のコントロールと栄養バランスの整え方
1. 食べすぎを防ぐ工夫
- 盛り付けは小皿・一膳分を意識して
- ゆっくり食べる(1口30回噛む)ことで満腹中枢が働きやすくなります
- 「空腹を感じたらまず白湯を一口」など、水分を上手に使うのも効果的
2. 食欲がないときは「温かさ」+「香り」で刺激
- 具だくさんの味噌汁、炊き込みご飯、蒸し料理など、香りと湯気で食欲を引き出す
- 好きな食材や色合いで食事に楽しさを加える工夫も◎
3. メンタルと腸はつながっている!
- 精神状態の安定には、腸内環境の良さが大切です
- 発酵食品(納豆、味噌、ヨーグルトなど)を少量でも毎日取り入れるのがおすすめ
訪問看護の現場でできること
- ご本人の食事リズムや嗜好、苦手な食材を一緒に整理
- 「最近、何を食べましたか?」「今、冷蔵庫にあるもので何が好きですか?」などの声かけから日常の栄養状態を把握
- 栄養失調や過食の兆候が見られる場合は、主治医や栄養士と連携し、食生活改善の支援を行う
ご家族・支援者へのアドバイス
- 「旬の食材を取り入れる」ことで、食事に季節感が生まれ、話題にもつながる
- 食事が“負担”にならないよう、一品だけでも手作りを取り入れる工夫がおすすめ
- 利用者が料理好きな場合は、簡単な調理や盛り付けを一緒に行うことも支援の一環
まとめ
秋は「食」を楽しむ絶好の季節であると同時に、心身のバランスを整えるチャンスでもあります。
旬の食材には、自然のリズムに合った栄養がたっぷりと詰まっています。
食べることは、ただ栄養を摂るだけでなく、「生活を豊かにする」「人とつながる」大切な手段です。
訪問看護の中でも、グループホームの生活でも、そうした日々の営みを大切にしながら、心も体も満たす食”のサポートを届けていけたらと思います。