年末年始の訪問看護について

~安心して年末年始をお過ごしいただくために~

皆さま、いつも訪問看護ステーションharu styleをご利用いただき、誠にありがとうございます。

2025年も残すところわずかとなりました。日頃より温かいご支援とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。

さて、本年の年末年始(2025年12月29日〜2026年1月3日)における訪問看護の対応について、下記のとおりご案内申し上げます。

🗓 年末年始の訪問スケジュール

2025年12月29日(月)〜2026年1月3日(土)の期間中の訪問予定については、担当看護師より個別にご案内を差し上げております

  • ご不明点やご希望がございましたら、事前に担当者までお気軽にご相談ください。

📞 緊急連絡体制について

年末年始の期間中も、緊急時の連絡体制は通常どおり確保しております。
急な体調変化や看護上の不安が生じた際は、遠慮なくご連絡ください。

  • 緊急連絡先は、事前にお知らせしている番号をご確認ください。

🙇‍♀️ ご協力のお願い

  • 年末年始のスケジュール調整に際し、皆さまのご理解とご協力に感謝申し上げます。
  • お薬の残量や生活面の不安などがある場合は、お早めに担当スタッフまでご相談ください。

冬季うつと日照時間:光療法の活用法

~冬のこころの落ち込みに、光という選択を~

はじめに

寒くなり、日が短くなる冬。
「朝起きられない」「気分が沈む」「なにもしたくない」そんな症状に心あたりはありませんか?
それはもしかすると、冬季うつと呼ばれる状態かもしれません。

本記事では、日照時間の減少がもたらすメンタルへの影響と、対応策のひとつである「光療法(ライトセラピー)」について、わかりやすくご紹介します。

冬季うつ(季節性情動障害)とは?

● 特徴的な症状

  • 朝なかなか起きられない
  • 疲れやすい・眠気が取れない
  • 気分が落ち込む
  • 食欲が増え、甘いものや炭水化物を多く摂る
  • 無気力・意欲の低下

これらは、秋~冬にかけて発症し、春先には自然と回復していくのが特徴です。
精神疾患をお持ちの方に限らず、誰にでも起こり得る症状ですが、うつ病や双極性障害の既往がある方は特に注意が必要です。

原因は日照時間の減少

冬季うつの大きな原因は、日照時間の短さです。

● 光の不足がもたらす変化

  • セロトニン(気分を安定させる神経伝達物質)の分泌が低下
  • メラトニン(睡眠を誘導するホルモン)の分泌が増えすぎる
    → 結果として、「眠気」「無気力」「気分の落ち込み」が引き起こされると考えられています。

光療法(ライトセラピー)とは?

光療法とは、専用の明るい光を朝に浴びることで、体内時計や気分を整える方法です。
医療機関でも取り入れられており、自宅で行える手軽な対策としても注目されています。

● 方法の一例(ご家庭・訪問先で行う場合)

  • 朝の起床後30分以内に、専用のライトを20~30分浴びる
  • 照明は顔全体に均一に当たるように設置
  • テレビを見ながら・朝食を取りながらでもOK(目を直接見続ける必要はありません)

光療法のメリット

  • 薬を使わないため、副作用がない
  • 自宅で簡単に継続できる
  • 効果が出るまでが比較的早い(数日〜1週間程度)
  • 他の治療(薬物療法やカウンセリング)と併用しやすい

注意点・導入時のポイント

  • 光過敏症や網膜疾患がある方は医師の確認が必要
  • 双極性障害の方は、光刺激により躁状態を誘発することがあるため注意
  • 適切な使用時間・距離・明るさについては、事前に医療者と相談することが大切
  • 安価なライトや間接照明では十分な効果が得られない場合があるため、医療用レベルの専用ライトが推奨されます

訪問看護でできるサポート

  • 冬季うつの可能性に気づき、「いつもと違う気分の揺れ」に寄り添う
  • 本人・家族に光療法の情報提供とメリット・注意点の説明
  • ライト設置のサポート(場所の確認・使い方の練習)
  • 睡眠日誌や気分変化の記録支援を通じた効果のモニタリング

まとめ

日照時間が短くなる冬の時期は、誰にとっても心身のリズムが乱れやすい季節です。
特に精神疾患をお持ちの方にとっては、季節の変化が症状に影響を与えることもあるため、早めの対応が大切です。

光療法は、「光の力」で心の安定をサポートする、やさしく、実践しやすい方法です。
「気分が沈みがち」「朝起きるのがつらい」などの変化が見られる場合は、ぜひ光の活用を考えてみてください。

冬の訪問時の服装:防寒と動きやすさの両立

~寒さに負けず、あたたかく、動きやすく~

はじめに

冬の訪問看護は、寒さとの戦いでもあります。
外は冷たい風、室内は暖房が効いている場所もあれば、そうでないご家庭も。
また、車での移動→徒歩→訪問先でのケアと、体温変化に対応しながら柔軟に動ける服装が求められます。

本記事では、冬季の訪問における看護師の服装選びのポイントと、機能性を損なわない防寒対策についてご紹介します。

冬季訪問でよくあるお悩み

  • 暖かい服を着ると動きづらくてケアがしにくい
  • 汗をかいて、訪問先で体が冷えてしまった
  • 訪問先によっては室温が低く、指先や足元が冷えて感覚が鈍る
  • 厚着をすると、見た目が重くなり、清潔感や信頼感に欠けるように感じる

こうした声は多くの訪問看護師が経験しています。
だからこそ、「見た目」「動きやすさ」「体温調節」のバランスが取れた服装が重要なのです。

冬の訪問に適した服装のポイント

1. インナー:温かくても「蒸れにくさ・吸湿性」を重視

  • ヒートテック素材や吸湿発熱インナーがおすすめ
  • 発汗による冷えを防ぐため、速乾性・通気性のあるものを選びましょう
  • 長袖でもフィット感のあるものを選ぶと、重ね着しても動きやすい

2. 中間着:動きを妨げない軽量防寒

  • フリースや薄手のニット、ダウンベストなどを重ねることで、脱ぎ着で体温調整が可能
  • ストレッチ性のある素材や、静電気防止加工のものが快適です
  • 「重ねるほど動きづらい」と感じる方には、裏起毛のストレッチスクラブも人気です

3. アウター:軽くて風を通さないものを

  • 防風・撥水機能のある中綿入りジャケットウィンドブレーカーなど
  • 脱ぎ着しやすく、ファスナー開閉やポケット付きのものが便利
  • 車移動が多い場合は、着脱が簡単なものを選ぶと◎

4. ボトムス:動きやすさ+保温性

  • 裏起毛のストレッチパンツは温かく、しゃがむ・立つなどの動作もスムーズ
  • 静電気対策として、柔らかく帯電しにくい素材を選ぶのもポイント

プラスαの防寒アイテム

  • ネックウォーマー・マフラー(室内で外せるタイプ)
  • 手袋・ハンドウォーマー(訪問先で外しやすいもの)
  • 厚手ソックス・インソール・靴用カイロで足元の冷え対策
  • カイロ(貼るタイプ)を背中や腰に貼ると全身が温まりやすい

室内との気温差に注意!冷え対策とマナーの両立

  • 訪問先によっては暖房が入っていないケースもあります
  • 上着を脱ぐかどうかの判断は、利用者の室温・会話の雰囲気を見ながら臨機応変に
  • 玄関先で「失礼いたします、上着を脱いでもよろしいですか?」など、一言添えると印象も良く、信頼感につながります

まとめ

冬の訪問看護は、寒さだけでなく、温度差・湿度・動きやすさといった複数の要素を考慮した服装が必要になります。

「防寒」と「機能性」をうまく両立させることで、体調を守りつつ、利用者との関係性も心地よいものに保てます。

ぜひご自身のスタイルや訪問先の特性に合わせて、動けて冷えにくい冬の訪問看護スタイルを見つけてください。

インフルエンザ予防と精神疾患:ワクチン接種の重要性

~感染予防は、心の安定にもつながります~

はじめに

毎年秋から冬にかけて流行する「インフルエンザ」。
高熱や倦怠感など身体的な症状が中心の感染症として知られていますが、精神疾患を持つ方にとっては、心身両面に影響を及ぼすリスクがあるため、特に注意が必要です。

この記事では、精神疾患をお持ちの方やそのご家族、支援者に向けて、インフルエンザワクチンの重要性と接種時の注意点を解説します。

なぜ精神疾患を持つ方にとって、インフルエンザの予防が重要なのか?

1. 感染による体調悪化が精神状態にも影響

  • インフルエンザにかかると、高熱・倦怠感・脱水・睡眠障害などが生じやすく、
     それが引き金となって、気分の落ち込み・不安・幻覚・妄想の再燃を招くケースも少なくありません。

2. 環境の変化に弱い方が多い

  • 入院や隔離、服薬スケジュールの変更といった生活リズムの乱れが、症状の悪化や再発を引き起こすリスクに。

3. 基礎疾患を抱えているケースも

  • 精神疾患と併せて、糖尿病・高血圧・肥満・生活習慣病などを抱えている方は、重症化しやすいハイリスク群に該当する場合があります。

インフルエンザワクチン接種のメリット

  • 発症リスクの軽減(約60%前後)
  • 重症化や入院の予防(とくに高齢者・基礎疾患のある方に有効)
  • 感染拡大の抑制(家庭内や施設内でのクラスター防止)
  • 安心感による精神的安定

「感染しないこと」だけでなく、感染したとしても重くならないための対策として、ワクチン接種は非常に重要な意味を持ちます。

接種にあたっての注意点と対応策

1. ワクチンに対する不安・抵抗感への配慮

  • 注射に対する恐怖や、医療機関への苦手意識がある方には、
    「できるだけ短時間で済ませる」「付き添いで安心感を与える」「事前に流れを説明する」などの工夫を。

2. 副反応への備えと説明

  • 発熱・注射部位の腫れ・だるさなどの軽い副反応が出ることがあります。
  • あらかじめ「翌日は少し体がだるくなるかもしれませんが、数日で落ち着きます」と伝えておくことで不安を軽減できます。

3. 接種スケジュールの調整

  • 他の注射や治療スケジュールとの兼ね合いに注意。
  • 精神科主治医と相談のうえ、接種日や時間帯、体調を考慮したプランを立てることが重要です。

訪問看護でできるサポート

  • ワクチンの案内・日程調整・医師との連携サポート
  • ご本人への説明支援(リーフレットや口頭でのフォロー)
  • ご家族への「接種を勧める意義」の共有
  • 接種後の体調確認と副反応の観察、必要時の医療連携

ご家族・支援者の皆さまへ

ご本人がワクチン接種に対して不安や抵抗を感じる場合、無理に勧めるのではなく、
「あなたの体調が悪くなってしまうと、周りもとても心配なんですよ」
「元気に過ごすために、できる対策をしていきましょうね」
といった共感ベースの声かけが有効です。

また、ご家族や支援者ご自身も接種しておくことで、感染リスクの低減と安心感の共有につながります。

まとめ

インフルエンザワクチンは、精神的な安定と生活の継続を守るための大切な予防策のひとつです。
訪問看護の中でも、「接種をする・しない」の判断だけでなく、不安の軽減、情報提供、環境調整などの包括的な支援が求められます。

ひとりでも多くの方が、安心して秋冬を過ごせるように
小さな声にも耳を傾けながら、予防の一歩を一緒に踏み出していきましょう。