~冬のこころの落ち込みに、光という選択を~
はじめに
寒くなり、日が短くなる冬。
「朝起きられない」「気分が沈む」「なにもしたくない」そんな症状に心あたりはありませんか?
それはもしかすると、冬季うつと呼ばれる状態かもしれません。
本記事では、日照時間の減少がもたらすメンタルへの影響と、対応策のひとつである「光療法(ライトセラピー)」について、わかりやすくご紹介します。
冬季うつ(季節性情動障害)とは?
● 特徴的な症状
- 朝なかなか起きられない
- 疲れやすい・眠気が取れない
- 気分が落ち込む
- 食欲が増え、甘いものや炭水化物を多く摂る
- 無気力・意欲の低下
これらは、秋~冬にかけて発症し、春先には自然と回復していくのが特徴です。
精神疾患をお持ちの方に限らず、誰にでも起こり得る症状ですが、うつ病や双極性障害の既往がある方は特に注意が必要です。
原因は日照時間の減少
冬季うつの大きな原因は、日照時間の短さです。
● 光の不足がもたらす変化
- セロトニン(気分を安定させる神経伝達物質)の分泌が低下
- メラトニン(睡眠を誘導するホルモン)の分泌が増えすぎる
→ 結果として、「眠気」「無気力」「気分の落ち込み」が引き起こされると考えられています。
光療法(ライトセラピー)とは?
光療法とは、専用の明るい光を朝に浴びることで、体内時計や気分を整える方法です。
医療機関でも取り入れられており、自宅で行える手軽な対策としても注目されています。
● 方法の一例(ご家庭・訪問先で行う場合)
- 朝の起床後30分以内に、専用のライトを20~30分浴びる
- 照明は顔全体に均一に当たるように設置
- テレビを見ながら・朝食を取りながらでもOK(目を直接見続ける必要はありません)
光療法のメリット
- 薬を使わないため、副作用がない
- 自宅で簡単に継続できる
- 効果が出るまでが比較的早い(数日〜1週間程度)
- 他の治療(薬物療法やカウンセリング)と併用しやすい
注意点・導入時のポイント
- 光過敏症や網膜疾患がある方は医師の確認が必要
- 双極性障害の方は、光刺激により躁状態を誘発することがあるため注意
- 適切な使用時間・距離・明るさについては、事前に医療者と相談することが大切
- 安価なライトや間接照明では十分な効果が得られない場合があるため、医療用レベルの専用ライトが推奨されます
訪問看護でできるサポート
- 冬季うつの可能性に気づき、「いつもと違う気分の揺れ」に寄り添う
- 本人・家族に光療法の情報提供とメリット・注意点の説明
- ライト設置のサポート(場所の確認・使い方の練習)
- 睡眠日誌や気分変化の記録支援を通じた効果のモニタリング
まとめ
日照時間が短くなる冬の時期は、誰にとっても心身のリズムが乱れやすい季節です。
特に精神疾患をお持ちの方にとっては、季節の変化が症状に影響を与えることもあるため、早めの対応が大切です。
光療法は、「光の力」で心の安定をサポートする、やさしく、実践しやすい方法です。
「気分が沈みがち」「朝起きるのがつらい」などの変化が見られる場合は、ぜひ光の活用を考えてみてください。
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