「芸術の秋」で心を豊かに:創作活動や音楽療法のすすめ

~感じて、表現して、ほぐれていく。心のための秋時間~

はじめに

秋といえば、「芸術の秋」。
涼しくなり、空気が澄み、感性が研ぎ澄まされるこの季節は、創作活動や音楽とのふれあいを通じて心を癒すチャンスでもあります。

精神疾患をお持ちの方や、生活の中で感情表現が難しい方にとって、絵や音楽、手作業は言葉にできない思いや気持ちを解放する手段となることがあります。

今回は、訪問看護でも取り入れやすい「芸術の秋」ならではの支援方法についてご紹介します。

創作活動がもたらすメンタルへの効果

1. 自己表現と感情の整理

  • 折り紙や塗り絵、ちぎり絵などの創作活動は、自分の内面を形にできる手段です。
  • 「言葉ではうまく伝えられないけれど、手を動かすことで落ち着く」「色を選ぶことで気分が整理される」そんな効果を実感される方も多くいます。

2. 集中することで不安が軽減される

  • 作品作りに集中することで、過度な思考・不安・強迫的な思考から一時的に距離を置くことができます。
  • 特に塗り絵やパズルなどの繰り返し型の作業は、安心感や達成感を得やすいという特性があります。

3. 成功体験と自己肯定感の向上

  • 「できた!」という達成感が、自信や意欲を高める第一歩に。
  • 他者から作品を認められることで、「自分の価値を感じられる」機会にもなります。

音楽療法的アプローチのすすめ

1. 音楽鑑賞の活用

  • クラシック、童謡、映画音楽など、ご本人の思い出や好みに合った音楽を一緒に聴く時間をつくる
  • 「この曲、昔よく聞いてた」「懐かしいね」など、記憶の引き出しにも効果的

2. 簡単なリズム活動

  • 手拍子・太鼓・鈴などの楽器を使って、軽くリズムに合わせて身体を動かす
  • 身体を通じてリズムを感じることで、感情のリリースや落ち着きの促進につながります

3. 歌うことの心理的効果

  • 声を出す行為そのものが、呼吸を深め、副交感神経を優位にする効果があります
  • 「一緒に歌ってみましょうか?」「鼻歌でも大丈夫ですよ」と、無理なく楽しめる提案

訪問看護で取り入れるヒント

1. 活動のきっかけはとにかくシンプルに

  • 「今日は秋らしい色で塗ってみませんか?」
  • 「今の気分に合う曲、いっしょに聴いてみませんか?」
  • 完成させることではなく、感じる時間を持つことを目標に

2. 本人の興味や懐かしさを軸に

  • 子どもの頃の遊びや、昔好きだった音楽・色・作品などからアプローチ
  • 「昔よくやっていた習字をやってみたい」などの声が出れば、その思いを尊重した活動提案

3. 完成品は共有・記録の材料にも

  • できあがった塗り絵や作品は、本人の成長記録・自己表現の成果として活用できます
  • ご家族に見せたり、記録に残すことで、本人のやった実感につながります

まとめ

芸術活動は、心に働きかける静かなケアです。
秋という季節の力を借りながら、「今、ここにいる私」をそっと表現できる場所をつくること。
それが、精神科訪問看護においても、その方らしい生き方を支える大切な関わりになるはずです。

無理なく、楽しく、気楽に取り入れられる芸術の秋。
今年は、そんな秋を皆様と一緒に過ごしてみませんか?

秋の衣替えと感覚過敏:利用者の「快適」を守る衣類選び

~着るものの違和感が、心の不安につながらないために~

はじめに

涼しい風が吹き始め、そろそろ衣替えの季節。
しかし、私たちが何気なく行う衣替えも、感覚過敏や衣類へのこだわりが強い方にとっては大きなストレスになることがあります。

「チクチクして落ち着かない」「タグが気になって着替えたがらない」こうした反応には理由があります。
この記事では、秋の衣類による不快感をできるだけ軽減し、その人にとっての快適を守る工夫を訪問看護の視点からお伝えします。

感覚過敏と衣替えのストレスとは?

1. 素材の変化による違和感

  • 夏服から秋冬の服へと切り替わると、肌ざわり・重さ・通気性が大きく変わります。
  • 感覚過敏のある方は、布の質感・縫い目・タグ・締め付け感などに強く反応し、不安や混乱につながることもあります。

2. 「決まった服しか着られない」ことも

  • 「この服しか着たくない」「毎日同じ服じゃないと落ち着かない」といったこだわりは、自分の世界の安心材料のひとつである場合があります。
  • 無理に新しい衣類に変えようとすると、パニックや拒否反応を招くこともあるため注意が必要です。

秋の衣類選び・切り替えのポイント

1. 素材は「やわらかく・軽く・通気性のよいもの」を優先

  • 綿・モダール・テンセルなどの柔らかくて摩擦の少ない素材が安心されやすい
  • ウール・ポリエステル混合などは、チクチク感が強く避けられる傾向あり
  • 裏地なし・タグなし・平縫いタイプの衣類を選ぶとより快適に

2. 薄手+重ね着のスタイルがおすすめ

  • 一気に厚手の服に変えるより、薄手の長袖+カーディガンなどのレイヤードで調整
  • 「気温に合わせて1枚ずつ脱げる」スタイルが、本人の快適を守りやすい

3. 衣類の慣れを大切に

  • いきなり新しい服に変えるのではなく、夏服と秋服を少しずつ混在させて慣らす期間を設ける
  • 「部屋では夏服、外出時だけ秋服」といった段階的な切り替えが◎
  • 本人のお気に入りの色・柄を選ぶことも、切り替えのきっかけになります

訪問看護でできる支援と声かけ

1. 衣類の不快感を観察する視点

  • 着替えを嫌がる、落ち着かない様子、かゆみを訴えるなどがあれば、素材やフィット感に原因がないかを確認
  • 「最近の服、気持ちよく着られてますか?」とさりげない確認の声かけ

2. ご家族・支援者との情報共有

  • 本人が服にこだわる場合、「この服だけは残しておいてください」といった配慮を提案
  • 新しい服を選ぶ際には、素材や肌ざわり重視の視点を共有
  • 「肌触りが合わなくて不安定になることもあるんです」と事前に説明することで誤解を防ぐ

ご本人の快適を尊重することが第一歩

衣服は毎日肌に直接触れるものです。
だからこそ、その人の感覚に合った服選びは、精神的な安定にも大きな意味を持ちます

「本人が落ち着ける服」「安心できる服」を中心に、季節の変化に無理なく付き合っていく。
訪問看護ステーションharu style・グループホームなつでは、その小さな変化に寄り添う支援を大切にしていきたいと思います。

寒暖差疲労とメンタルの揺らぎ:秋の体調管理ポイント

~「気分が不安定…」その背景に温度差があるかもしれません~

はじめに

朝晩の冷え込みと、日中のポカポカ陽気、10月は、一日の中でも気温差が大きくなる季節です。
この寒暖差は、実は私たちの自律神経に負担をかけ、心と体に影響を及ぼす要因のひとつです。

精神疾患をお持ちの方にとっては、「なんとなく不安」「疲れが抜けない」「気分が落ち込みやすい」といった症状が、この時期に強まることもあります。

この記事では、寒暖差が引き起こす“寒暖差疲労”とメンタルへの影響、そして訪問看護や日常でできる対策についてご紹介します。

寒暖差疲労とは?

寒暖差疲労とは、日中と朝晩の気温差に体がうまく対応できず、自律神経が疲れてしまう状態を指します。

◆ 秋の典型的な症状

  • 疲れやすい
  • 頭痛・肩こり・めまい
  • 不安感やイライラ、気分の落ち込み
  • 睡眠の質の低下(中途覚醒・寝つきの悪さ)

特に10月は、夏から冬への「季節のはざま」にあり、身体が環境に適応しきれないまま疲労が蓄積しやすい時期です。

自律神経とメンタルの関係

自律神経は、呼吸・血圧・体温・消化などを調整する働きがあると同時に、感情の安定や精神状態とも深く関係しています。

寒暖差によって交感神経と副交感神経の切り替えが乱れると、

  • 「体が休まらない」
  • 「頭がさえて眠れない」
  • 「ちょっとしたことで不安定になる」
    といったメンタルの揺らぎが起こりやすくなります。

訪問看護の現場でよく見られる変化

  • 「寝ても疲れが取れない」
  • 「日中ぼーっとして動き出せない」
  • 「涼しくなってから、気分が沈みがちになってきた」
  • 「朝夕になると不安が強まる」

こうした声が10月に増えることは珍しくありません。
だからこそ、体調の揺らぎを気持ちのせいではなく季節のせいと捉える視点が大切になります。

セルフケアと支援のポイント

1. 服装の調整で体温を守る

  • 薄手の上着・ストール・レッグウォーマーなど、こまめな温度調整ができる服装を
  • 足元や首元を冷やさない工夫が、自律神経の安定にもつながります

2. 朝の光を浴びて体内リズムを整える

  • 起床後すぐにカーテンを開けて光を取り入れる
  • 外に出られない日も、室内で明るく過ごすだけでセロトニン(幸福ホルモン)の分泌を促せます

3. 食事と水分補給で内側から整える

  • ビタミンB群・マグネシウム・鉄分を意識(例:納豆、卵、バナナ、海藻、豆腐など)
  • 夏と違って喉の渇きを感じにくくなるため、意識的な水分補給(常温がおすすめ)を忘れずに

4. 軽い運動と深呼吸で自律神経をサポート

  • 無理のない範囲で、散歩・ストレッチ・ラジオ体操などの軽い運動を
  • 寝る前に腹式呼吸を行うことで、心身の緊張をゆるめる効果も期待できます

訪問看護でできる関わり方

  • 服装や室温、飲食の傾向など、季節の変化に合った生活スタイルになっているかチェック
  • 「最近よく眠れていますか?」「疲れが取れていますか?」と、気分だけでなく体調にフォーカスした声かけ
  • 必要に応じて、主治医やご家族と気分変動や日常生活への影響を共有

まとめ

寒暖差による心身の疲労は、誰にでも起こりうる自然な反応です。
特にメンタルに不調を抱える方にとっては、ちょっとした気候の変化が大きなストレスになることもあります。

大切なのは、「なんとなく調子が悪い」の背景にある季節のサインに気づくこと。
訪問看護ステーションharu style・グループホームなつでは、その気づきをきっかけに、その人らしいリズムと安心を取り戻す支援を心がけていきたいと思います。

訪問看護ステーション haru style は開設6周年を迎えました

~皆様とともに歩んだ6年、感謝の気持ちを込めて~

皆様へ

こんにちは。
いつも訪問看護ステーション haru style をご支援いただき、誠にありがとうございます。

このたび、私たちharu styleは令和7年をもちまして、開設6周年という節目を迎えることができました。
ここまで歩んでこられましたのは、日々私たちを温かく支えてくださる皆様のおかげに他なりません。スタッフ一同、心より感謝申し上げます。

6年間の歩み

開設以来、私たちは「寄り添う看護」を大切にし、患者様一人ひとりの生活や心の声に耳を傾けながら、安心と信頼の訪問看護を提供してまいりました。

この6年間で、さまざまな出会いがあり、多くの学びと成長を重ねてきました。
日々の訪問の中で感じるのは、ご本人の頑張り、家族の支え、地域の力。私たちはその一部でありたいと、いつも願ってきました。

「ありがとう」の言葉に励まされ、「また来てね」の声に背中を押されながら、6年という月日を過ごすことができました。

今後に向けて

6周年を機に、私たちは新たな気持ちで次のステージへと歩み出します。

これまで以上にご利用者様の生活に寄り添い、“安心して暮らし続けられる地域社会”の一翼を担える存在でありたいと考えています。
看護の質のさらなる向上に努めるとともに、新たなチャレンジにも積極的に取り組み、変化に柔軟に対応できるチームを目指してまいります。

感謝を胸に、これからも

6年という年月の中で得た信頼と経験を糧に、訪問看護の専門職として、そして地域の一員として、一層の努力を続けてまいります。

これからも、皆様のご期待に応えられるよう、真摯な姿勢で看護に取り組んでまいりますので、変わらぬご支援・ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

皆様のご健康とご多幸を、心よりお祈り申し上げます。

令和7年10月1日
訪問看護ステーション haru style スタッフ一同

季節の変わり目と服薬管理:注意すべき点

~気候のゆらぎに負けない服薬サポートを~

はじめに

季節の変わり目になると、「なんとなく体がだるい」「眠れない」「気分が落ち込む」といった声が多く聞かれます。
このような心身の変化は、気温や湿度、日照時間などの外的要因によって引き起こされる「季節性の体調不良」のひとつです。

精神疾患をお持ちの方にとっては、この季節の変化が服薬のリズムや体への影響に大きく関係することもあります。
この記事では、季節の変わり目に起こりやすい変化と、それに応じた服薬管理の注意点や訪問看護での工夫について解説します。

季節の変わり目に起きやすい体調の変化

1. 自律神経の乱れ

  • 春や秋は寒暖差や気圧の変動が激しく、自律神経のバランスが崩れやすい時期です。
  • この影響で、睡眠障害・胃腸の不調・倦怠感・情緒不安定などの症状が出やすくなります。

2. 薬の効き方や副作用の感じ方が変わることも

  • 体温や発汗量が変わることで、薬の吸収や代謝が変化し、効果が強く出たり、逆に弱まることも。
  • 特に眠気・脱水・便秘・動悸などの副作用が強く感じられるケースもあります。

3. 服薬のタイミングがずれやすい

  • 日照時間の変化や生活リズムの乱れにより、服薬を忘れる・遅れる・間違えるといった事例が増えがちです。
  • 季節の変わり目は、心身の“ゆらぎ”が出やすい時期だからこそ、服薬管理の丁寧さが求められます。

服薬管理のポイントと対応策

1. 自覚症状に頼りすぎない

  • 「調子が良いから薬を減らしてもいいかも」など、自己判断での減薬・中断は非常に危険です。
  • 季節変動に伴う気分の揺れは一時的なものも多いため、継続的な服薬が安定につながります

2. 環境の変化による誤薬リスクに注意

  • 旅行・外出・家族構成の変化(例:夏休み・年末年始)などで、服薬環境が変化する時期はミスが起きやすい
  • 服薬カレンダーやピルケース、タイマー付きアラームなどの活用を検討しましょう。

3. 副作用・効果の変化に敏感になる

  • 同じ薬でも、気温や活動量の変化によって作用が異なることがあります。
  • 「最近、便秘がひどくなった」「いつもより眠気が強い」などの変化を感じたら、早めに主治医や薬剤師に相談を。

訪問看護でできるサポート

1. 季節の変わり目に合わせた体調チェック

  • 「最近の気温の変化で何か感じていることはありますか?」という問いかけで変化への気づきを促す
  • 表情・動作・言葉づかい・睡眠・食事の変化などを丁寧に観察することも重要です

2. 薬の保管・管理状態の確認

  • 湿気や温度の影響を受けやすい薬剤は、保管場所や使用期限にも注意が必要です
  • ご本人が管理している場合は、「どこに置いているか」「いつ飲んでいるか」を一緒に再確認

3. 医師・薬局との情報連携

  • 訪問の中で気づいた変化や、服薬に関する不安は、早めに医師や薬剤師に伝える
  • ご本人に代わって確認することも、訪問看護師の重要な役割のひとつです

ご家族・支援者へのアドバイス

  • 季節ごとに「薬の飲み忘れが起きやすい時期」があることを一緒に認識しておく
  • 「今日は気温が下がったから、体調に影響がないか見守ってくださいね」といった具体的な声かけを共有
  • 「少しの変化も大切なサイン」として受け止め、報告しやすい雰囲気づくりを心がけましょう

まとめ

季節の変わり目は、心も体も不安定になりやすい時期です。
だからこそ、服薬の安定が“安心の軸”となるよう、丁寧な管理とサポートが求められます。

ご本人が安心して日々を過ごせるよう、季節の変化に寄り添いながら、服薬にまつわる小さな気づきを支援につなげていくことが大切です。

秋の夜長と不眠:睡眠環境の整え方

~“眠れない秋の夜”をやさしく乗り切るために~

はじめに

「秋の夜長」という言葉がありますが、実際に秋になると「眠りが浅い」「夜中に目が覚める」「なかなか寝つけない」といった不眠の相談が増える季節でもあります。

特に精神疾患を抱える方や生活リズムが崩れやすい方にとっては、気温・日照時間・気圧の変化が睡眠に大きく影響し、メンタルの不調に直結することも少なくありません。

今回は、秋の夜長に起こりやすい不眠の原因と、その対策としての睡眠環境の整え方やセルフケアの工夫についてご紹介します。

秋に不眠が増えやすい理由

1. 日照時間の短縮による体内時計の乱れ

  • 秋は急激に日の入りが早くなるため、体内時計が乱れやすくなります。
  • メラトニン(眠気を促すホルモン)の分泌リズムがずれ、眠気が早すぎたり遅すぎたりすることも。

2. 気温差による身体へのストレス

  • 朝晩の寒暖差が激しくなり、自律神経が乱れやすくなることで、寝つきの悪さや途中覚醒が増加
  • 寝具や室温が合わず、「眠りに集中できない」という状態になりやすい

3. 「静かすぎる夜」が不安感を強める

  • 夜の静けさの中で、考えごとや不安が膨らみやすく、過覚醒(頭が冴えて眠れない状態)につながることも

不眠を和らげる睡眠環境の整え方

1. 温度・湿度を秋仕様に見直す

  • 寝室の温度は18〜22℃が理想。足先の冷えにはレッグウォーマーや湯たんぽを
  • 加湿器を使い、湿度は50〜60%前後を保つことで、呼吸がしやすくなります

2. 寝具の調整

  • 夏用の寝具を使い続けていないかチェック
  • 掛け布団は軽くて保温性のある素材がおすすめ。重すぎる布団は圧迫感で眠りを妨げることも

3. 照明・音・香りの工夫

  • 就寝1時間前からは間接照明や電球色ライトに切り替える
  • ホワイトノイズ(静かな環境音)やヒーリング音楽を活用
  • ラベンダーやカモミールなどのリラックス系アロマも効果的

不眠に悩む方へのセルフケアのヒント

  • 寝る前のスマートフォン・テレビ・強い光を避ける(ブルーライトカット
  • 就寝前は考えごとを紙に書き出すなど、頭の中を整理しておく
  • 「眠ろうと頑張らない」「布団に入る時間を固定する」など、プレッシャーを和らげる視点が大切
  • 寝つけないときは、一度布団から出て軽くストレッチや読書などを行う

訪問看護でできる支援のポイント

  • 睡眠の記録や夜間の様子についてヒアリングし、リズムの傾向を把握
  • 「〇時になったら部屋の明かりを落とす」など、就寝前の行動パターンを一緒に整える
  • ご本人の好みに合った音楽やアロマなど、自分だけの入眠ルーティンを提案
  • 必要に応じて、主治医に服薬内容や生活状況を報告・相談

ご家族・支援者へのアドバイス

  • 「夜中に何度も起きてしまう」「なかなか眠れない」ことを甘えではなく体の反応として受け止める
  • 寝つけない時に無理に寝かせようとせず、安心できる声かけや対応
  • 日中の活動量や光の取り入れ方(午前中の散歩など)も大切です

まとめ

秋の夜長は、心を落ち着ける一方で、不眠に悩む方にとってはつらさが増す季節でもあります。
眠りは、心と体の回復を支える大切な時間です。環境を少し整えるだけでも、睡眠の質は大きく変わってきます。

訪問看護ステーションharu style・グループホームなつでは、その方の生活スタイルに合わせた現実的でやさしいサポートを心がけ、安心して眠れる夜を共につくっていきたいと考えています。

秋の味覚と食欲:栄養バランスの取り方

~旬の恵みで、心と体にやさしい食事を~

はじめに

「食欲の秋」と言われるこの季節。涼しさとともに食べ物が一段と美味しく感じられ、旬の味覚が食卓を彩ります。

しかし一方で、精神疾患をお持ちの方にとっては、「何を食べたらいいのか分からない」「食べすぎてしまう」「食欲がわかない」といった食に関する悩みが秋にも存在します。

本記事では、秋の味覚を楽しみながら、栄養バランスを保つ食事の工夫について、訪問看護の視点も交えながらご紹介します。

秋におすすめの旬食材とその栄養

1. 主菜の主役:たんぱく質と脂質のバランス

  • さんま・さけ・さば:青魚にはDHAやEPAが豊富。うつ症状や脳の働きを助ける栄養素です。
  • きのこ類(しいたけ、まいたけ、しめじ):低カロリーで食物繊維・ビタミンB群が豊富。腸内環境改善にも◎

2. 副菜に取り入れたい:秋の野菜たち

  • さつまいも・かぼちゃ:ビタミンC、E、食物繊維が豊富で、血糖値の安定や便通改善にも。
  • れんこん・ごぼう:歯ごたえと香りで満足感があり、噛むことで精神的にも落ち着きやすくなります。

3. デザート代わりに:果物でビタミン補給

  • りんご・なし・ぶどう・柿:抗酸化作用・疲労回復・整腸作用など、心身の安定をサポート。
  • 食べすぎには注意しつつ、間食代わりに小皿で楽しむのがポイントです。

食欲のコントロールと栄養バランスの整え方

1. 食べすぎを防ぐ工夫

  • 盛り付けは小皿・一膳分を意識して
  • ゆっくり食べる(1口30回噛む)ことで満腹中枢が働きやすくなります
  • 「空腹を感じたらまず白湯を一口」など、水分を上手に使うのも効果的

2. 食欲がないときは「温かさ」+「香り」で刺激

  • 具だくさんの味噌汁、炊き込みご飯、蒸し料理など、香りと湯気で食欲を引き出す
  • 好きな食材や色合いで食事に楽しさを加える工夫も◎

3. メンタルと腸はつながっている!

  • 精神状態の安定には、腸内環境の良さが大切です
  • 発酵食品(納豆、味噌、ヨーグルトなど)を少量でも毎日取り入れるのがおすすめ

訪問看護の現場でできること

  • ご本人の食事リズムや嗜好、苦手な食材を一緒に整理
  • 「最近、何を食べましたか?」「今、冷蔵庫にあるもので何が好きですか?」などの声かけから日常の栄養状態を把握
  • 栄養失調や過食の兆候が見られる場合は、主治医や栄養士と連携し、食生活改善の支援を行う

ご家族・支援者へのアドバイス

  • 「旬の食材を取り入れる」ことで、食事に季節感が生まれ、話題にもつながる
  • 食事が“負担”にならないよう、一品だけでも手作りを取り入れる工夫がおすすめ
  • 利用者が料理好きな場合は、簡単な調理や盛り付けを一緒に行うことも支援の一環

まとめ

秋は「食」を楽しむ絶好の季節であると同時に、心身のバランスを整えるチャンスでもあります
旬の食材には、自然のリズムに合った栄養がたっぷりと詰まっています。

食べることは、ただ栄養を摂るだけでなく、「生活を豊かにする」「人とつながる」大切な手段です。
訪問看護の中でも、グループホームの生活でも、そうした日々の営みを大切にしながら、心も体も満たす食”のサポートを届けていけたらと思います。

秋の気圧変動と気分の波:メンタルケアのポイント

~「なんとなく気分が落ち込む」に理由があります~

はじめに

秋になると「気分が不安定になる」「朝起きるのがつらい」「やる気が出ない」といった声が多く聞かれるようになります。
その背景には、気温や日照時間の変化だけでなく、「気圧の変動」が大きく関係していることをご存じでしょうか?

気圧の変化は、体だけでなく心にも影響を及ぼします。特に精神疾患をお持ちの方は、気分の波や体調不良が気圧と連動しているケースも少なくありません。

この記事では、秋に起こりやすい気圧変動と気分の関係、そしてその対策とケアのポイントについてご紹介します。

秋の気圧変化がもたらす“心の揺れ”

1. 秋は低気圧が増える季節

  • 秋は台風や秋雨前線などの影響で気圧が大きく変化しやすい季節です。
  • 一日の中でも気圧が上下することがあり、これが自律神経のバランスを乱す原因になります。

2. 気圧が心に与える影響とは?

  • 気圧が下がると、副交感神経が優位になりすぎて眠気やだるさ、頭重感が強くなる傾向があります。
  • 交感神経がうまく働かなくなることで、やる気の低下・抑うつ感・不安感が現れやすくなります。

3. 精神疾患を持つ方は特に影響を受けやすい

  • うつ病:気圧の低下とともに気分の落ち込みが強くなる
  • 不安障害:予期せぬ体調不良がさらなる不安を引き起こす
  • 双極性障害:気分の波が大きくなりやすい
  • 統合失調症:気圧変化による自律神経の乱れで症状が悪化する場合も

気圧変動に負けないためのセルフケアと支援の工夫

1. 「気圧による不調」を知っておくことが第一歩

  • 「気分が落ちるのは天気のせいかも」と意識するだけでも、必要以上に自分を責めない気持ちが生まれる
  • アプリ(気圧予報など)を活用し、「今日は無理をしない日」と決めるのも一つの工夫

2. 自律神経を整える生活習慣を意識

  • 規則正しい生活(起床・就寝・食事・服薬の時間を一定に)
  • 朝の光を浴びてリズムを整える(曇りの日でもカーテンを開ける)
  • 適度な運動(ウォーキング、ストレッチなど)で気分を安定させる
  • 湯船に浸かる、腹式呼吸をするなど、リラックスできる時間を意識的に確保する

3. 訪問看護でできる支援

  • ご本人の気分や体調の変化を天気や気圧と照らし合わせて共有
  • 気圧の変化が続く時期には、「無理しない」「頑張りすぎない」ことを肯定する声かけ
  • 生活リズムの乱れが出ていないか、日誌やスケジュール表の活用で可視化する
  • 必要があれば、主治医に症状の季節変動を報告し、治療や服薬の見直しも検討

ご家族や支援者にも知ってほしいこと

  • 気圧や天候が精神状態に影響することは甘えや気のせいではありません
  • 「また気分が落ち込んでいる…」ではなく、「今日は気圧が下がっているから無理しないでね」と声をかけるだけでも違います

まとめ

秋は気温・日照・気圧と、心と体に影響を与える要素が一度に訪れる季節です。
気圧の変動によって気分が乱れるのは誰にでも起こりうる自然な反応です。
だからこそ、日々の小さな体調変化や心のサインに気づき、自分をいたわる時間と環境を整えることが大切です。

訪問看護ステーションharu style・グループホームなつでは、その方のリズムに寄り添いながら、「安心して秋を過ごす」ためのサポートを続けていきたいと考えています。

【ご挨拶】グループホームなつは開設4周年を迎えました

~皆様の支えとともに歩んだ4年間、心からの感謝を込めて~

こんにちは。
いつもグループホームなつをご支援いただき、誠にありがとうございます。

おかげさまで、私たちグループホームなつは令和7年9月に開設4周年という節目を迎えることとなりました。
この日を迎えることができましたのは、ひとえに日頃から温かく見守り、力強く支えてくださる皆様のおかげです。心より御礼申し上げます。

開設から4年。これまでのあゆみ

「いつもそばに あなたの心に届けたい安らぎ」。
この想いを胸に、私たちは4年前、グループホームなつの第一歩を踏み出しました。

手探りの中でのスタートではありましたが、利用者様お一人おひとりの笑顔、地域の皆様からのあたたかな声援、そしてご家族のご理解とご協力に支えられながら、歩みを進めてまいりました。

この4年間、多くの方が「ここでの暮らし」を新たなスタートとして、少しずつご自身のペースで日常を築かれてきました。
その姿に、私たちスタッフはたくさんの勇気と学びをいただいています。

皆様への感謝の気持ち

グループホームという場所は、地域とつながってこそ、初めて“居場所”として成り立つものです。
地域の皆様、医療・福祉関係機関の方々、そしてなにより利用者様とそのご家族に、心より感謝申し上げます。

日々の暮らしを支えるなかで、私たちもまた、多くの支えをいただいてきました。
その一つひとつが、今日のグループホームなつを形づくる礎となっています。

これからの私たちについて

5年目を迎えるこれからは、より安心・より快適な生活の場を目指し、サービスの質をさらに高めてまいります。

利用者様の目線に立った支援を大切にし、今までの経験を土台としながら、柔軟な発想で新しい取り組みにも挑戦していく所存です。

「ここに来てよかった」と思っていただける場所であり続けるために、私たちは一歩ずつ、着実に歩んでまいります。

結びに

4周年を迎えられたことは、私たちにとって大きな喜びであり、励みでもあります。
そして、この喜びを皆様と分かち合えることが、何よりの幸せです。

これからも、グループホームなつは利用者様と地域に寄り添いながら、あたたかく、丁寧な支援を心がけてまいります。
今後とも、変わらぬご指導・ご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

令和7年9月
グループホームなつ スタッフ一同

“夏休み”が引き起こす生活リズムの崩壊

〜家庭内でのストレスと支援のポイント〜

はじめに

子どもたちにとっては楽しみな「夏休み」。しかし、精神疾患を抱える方やそのご家族にとっては、生活リズムの乱れや家庭内のストレスを引き起こす要因になることがあります。

訪問看護の現場でも、

  • 「子どもがずっと家にいて生活音が気になる」
  • 「生活リズムが崩れて、昼夜逆転してしまった」
  • 「家族との距離が近すぎて疲れてしまう」
    といった声が聞かれます。

この記事では、“夏休み”という非日常がもたらす心と生活への影響を理解し、訪問看護の中でできるサポートのポイントをお伝えします。

夏休みがもたらす生活の変化

1. 家族の在宅時間の増加

  • 子どもやパートナーの在宅時間が長くなり、普段の静けさがなくなる
  • 食事・洗濯・掃除など家事負担の増加により、ストレスや疲労感が蓄積

2. 生活リズムの乱れ

  • 子どもに合わせて起床時間が遅くなり、ご本人の生活リズムまで崩れてしまう
  • 「家族が寝てからでないと自分の時間が取れない」と、夜更かし・昼夜逆転になるケースも

3. 心の距離が近すぎて起こる摩擦

  • 普段以上に顔を合わせる時間が長くなることで、小さなことで口論になりやすくなる
  • ご本人が家族の声や行動に対して過敏になることも

生活リズムの崩れが精神状態に与える影響

  • 睡眠時間や食事時間が不規則になることで、気分の波や意欲の低下が強くなる
  • 服薬のタイミングがずれ、薬の効果が安定しなくなる
  • 「何もできていない」という自己否定感が増し、抑うつ状態やイライラ感が悪化する可能性も

訪問看護での支援のポイント

1. 「非日常」の中で、少しでも「日常」を保つ工夫

  • 毎朝の起床・服薬・食事などのタイミングを可能な範囲で固定化する
  • スケジュール表やタイマーなどを使い、「次に何をするか」を視覚化するのも効果的

2. 家族との“ちょうどよい距離”を提案

  • 「1人で過ごす時間も大切」と伝え、無理に合わせすぎないよう助言
  • 家族にも「疲れてしまうのは悪いことではありません」と安心感を持ってもらう声かけ

3. 過剰な刺激・活動量の調整

  • 外出やお出かけ、学習など、「やらなければ」というプレッシャーを和らげるサポート
  • 誰かと一緒にいる時間が長すぎると疲弊することも。静かな時間の確保を優先

ご家族へのアドバイス・支援

  • 夏休みは「うまくいかなくて当たり前」と期待値を下げることで、気持ちが楽になります
  • 「何をしてほしいか」「してほしくないか」をご本人と一緒に話し合う場をつくる
  • 「少しのストレスは避けられない」と共有し、感情の逃がし方やサポート先(訪問看護など)を明確に

まとめ

“夏休み”という季節の変化は、家庭内の環境や精神状態に見えない影響を与える時期です。
訪問看護では、「非日常の中に日常を取り戻す」ための工夫と、「家族とのちょうどよい関係性の維持」を支えることが大きな役割です。

ご本人もご家族も「この時期を無理なく乗り越える」ことを目指して、必要な支援をさりげなく届けていきましょう。