訪問看護ステーション haru style は開設6周年を迎えました

~皆様とともに歩んだ6年、感謝の気持ちを込めて~

皆様へ

こんにちは。
いつも訪問看護ステーション haru style をご支援いただき、誠にありがとうございます。

このたび、私たちharu styleは令和7年をもちまして、開設6周年という節目を迎えることができました。
ここまで歩んでこられましたのは、日々私たちを温かく支えてくださる皆様のおかげに他なりません。スタッフ一同、心より感謝申し上げます。

6年間の歩み

開設以来、私たちは「寄り添う看護」を大切にし、患者様一人ひとりの生活や心の声に耳を傾けながら、安心と信頼の訪問看護を提供してまいりました。

この6年間で、さまざまな出会いがあり、多くの学びと成長を重ねてきました。
日々の訪問の中で感じるのは、ご本人の頑張り、家族の支え、地域の力。私たちはその一部でありたいと、いつも願ってきました。

「ありがとう」の言葉に励まされ、「また来てね」の声に背中を押されながら、6年という月日を過ごすことができました。

今後に向けて

6周年を機に、私たちは新たな気持ちで次のステージへと歩み出します。

これまで以上にご利用者様の生活に寄り添い、“安心して暮らし続けられる地域社会”の一翼を担える存在でありたいと考えています。
看護の質のさらなる向上に努めるとともに、新たなチャレンジにも積極的に取り組み、変化に柔軟に対応できるチームを目指してまいります。

感謝を胸に、これからも

6年という年月の中で得た信頼と経験を糧に、訪問看護の専門職として、そして地域の一員として、一層の努力を続けてまいります。

これからも、皆様のご期待に応えられるよう、真摯な姿勢で看護に取り組んでまいりますので、変わらぬご支援・ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

皆様のご健康とご多幸を、心よりお祈り申し上げます。

令和7年10月1日
訪問看護ステーション haru style スタッフ一同

季節の変わり目と服薬管理:注意すべき点

~気候のゆらぎに負けない服薬サポートを~

はじめに

季節の変わり目になると、「なんとなく体がだるい」「眠れない」「気分が落ち込む」といった声が多く聞かれます。
このような心身の変化は、気温や湿度、日照時間などの外的要因によって引き起こされる「季節性の体調不良」のひとつです。

精神疾患をお持ちの方にとっては、この季節の変化が服薬のリズムや体への影響に大きく関係することもあります。
この記事では、季節の変わり目に起こりやすい変化と、それに応じた服薬管理の注意点や訪問看護での工夫について解説します。

季節の変わり目に起きやすい体調の変化

1. 自律神経の乱れ

  • 春や秋は寒暖差や気圧の変動が激しく、自律神経のバランスが崩れやすい時期です。
  • この影響で、睡眠障害・胃腸の不調・倦怠感・情緒不安定などの症状が出やすくなります。

2. 薬の効き方や副作用の感じ方が変わることも

  • 体温や発汗量が変わることで、薬の吸収や代謝が変化し、効果が強く出たり、逆に弱まることも。
  • 特に眠気・脱水・便秘・動悸などの副作用が強く感じられるケースもあります。

3. 服薬のタイミングがずれやすい

  • 日照時間の変化や生活リズムの乱れにより、服薬を忘れる・遅れる・間違えるといった事例が増えがちです。
  • 季節の変わり目は、心身の“ゆらぎ”が出やすい時期だからこそ、服薬管理の丁寧さが求められます。

服薬管理のポイントと対応策

1. 自覚症状に頼りすぎない

  • 「調子が良いから薬を減らしてもいいかも」など、自己判断での減薬・中断は非常に危険です。
  • 季節変動に伴う気分の揺れは一時的なものも多いため、継続的な服薬が安定につながります

2. 環境の変化による誤薬リスクに注意

  • 旅行・外出・家族構成の変化(例:夏休み・年末年始)などで、服薬環境が変化する時期はミスが起きやすい
  • 服薬カレンダーやピルケース、タイマー付きアラームなどの活用を検討しましょう。

3. 副作用・効果の変化に敏感になる

  • 同じ薬でも、気温や活動量の変化によって作用が異なることがあります。
  • 「最近、便秘がひどくなった」「いつもより眠気が強い」などの変化を感じたら、早めに主治医や薬剤師に相談を。

訪問看護でできるサポート

1. 季節の変わり目に合わせた体調チェック

  • 「最近の気温の変化で何か感じていることはありますか?」という問いかけで変化への気づきを促す
  • 表情・動作・言葉づかい・睡眠・食事の変化などを丁寧に観察することも重要です

2. 薬の保管・管理状態の確認

  • 湿気や温度の影響を受けやすい薬剤は、保管場所や使用期限にも注意が必要です
  • ご本人が管理している場合は、「どこに置いているか」「いつ飲んでいるか」を一緒に再確認

3. 医師・薬局との情報連携

  • 訪問の中で気づいた変化や、服薬に関する不安は、早めに医師や薬剤師に伝える
  • ご本人に代わって確認することも、訪問看護師の重要な役割のひとつです

ご家族・支援者へのアドバイス

  • 季節ごとに「薬の飲み忘れが起きやすい時期」があることを一緒に認識しておく
  • 「今日は気温が下がったから、体調に影響がないか見守ってくださいね」といった具体的な声かけを共有
  • 「少しの変化も大切なサイン」として受け止め、報告しやすい雰囲気づくりを心がけましょう

まとめ

季節の変わり目は、心も体も不安定になりやすい時期です。
だからこそ、服薬の安定が“安心の軸”となるよう、丁寧な管理とサポートが求められます。

ご本人が安心して日々を過ごせるよう、季節の変化に寄り添いながら、服薬にまつわる小さな気づきを支援につなげていくことが大切です。

秋の夜長と不眠:睡眠環境の整え方

~“眠れない秋の夜”をやさしく乗り切るために~

はじめに

「秋の夜長」という言葉がありますが、実際に秋になると「眠りが浅い」「夜中に目が覚める」「なかなか寝つけない」といった不眠の相談が増える季節でもあります。

特に精神疾患を抱える方や生活リズムが崩れやすい方にとっては、気温・日照時間・気圧の変化が睡眠に大きく影響し、メンタルの不調に直結することも少なくありません。

今回は、秋の夜長に起こりやすい不眠の原因と、その対策としての睡眠環境の整え方やセルフケアの工夫についてご紹介します。

秋に不眠が増えやすい理由

1. 日照時間の短縮による体内時計の乱れ

  • 秋は急激に日の入りが早くなるため、体内時計が乱れやすくなります。
  • メラトニン(眠気を促すホルモン)の分泌リズムがずれ、眠気が早すぎたり遅すぎたりすることも。

2. 気温差による身体へのストレス

  • 朝晩の寒暖差が激しくなり、自律神経が乱れやすくなることで、寝つきの悪さや途中覚醒が増加
  • 寝具や室温が合わず、「眠りに集中できない」という状態になりやすい

3. 「静かすぎる夜」が不安感を強める

  • 夜の静けさの中で、考えごとや不安が膨らみやすく、過覚醒(頭が冴えて眠れない状態)につながることも

不眠を和らげる睡眠環境の整え方

1. 温度・湿度を秋仕様に見直す

  • 寝室の温度は18〜22℃が理想。足先の冷えにはレッグウォーマーや湯たんぽを
  • 加湿器を使い、湿度は50〜60%前後を保つことで、呼吸がしやすくなります

2. 寝具の調整

  • 夏用の寝具を使い続けていないかチェック
  • 掛け布団は軽くて保温性のある素材がおすすめ。重すぎる布団は圧迫感で眠りを妨げることも

3. 照明・音・香りの工夫

  • 就寝1時間前からは間接照明や電球色ライトに切り替える
  • ホワイトノイズ(静かな環境音)やヒーリング音楽を活用
  • ラベンダーやカモミールなどのリラックス系アロマも効果的

不眠に悩む方へのセルフケアのヒント

  • 寝る前のスマートフォン・テレビ・強い光を避ける(ブルーライトカット
  • 就寝前は考えごとを紙に書き出すなど、頭の中を整理しておく
  • 「眠ろうと頑張らない」「布団に入る時間を固定する」など、プレッシャーを和らげる視点が大切
  • 寝つけないときは、一度布団から出て軽くストレッチや読書などを行う

訪問看護でできる支援のポイント

  • 睡眠の記録や夜間の様子についてヒアリングし、リズムの傾向を把握
  • 「〇時になったら部屋の明かりを落とす」など、就寝前の行動パターンを一緒に整える
  • ご本人の好みに合った音楽やアロマなど、自分だけの入眠ルーティンを提案
  • 必要に応じて、主治医に服薬内容や生活状況を報告・相談

ご家族・支援者へのアドバイス

  • 「夜中に何度も起きてしまう」「なかなか眠れない」ことを甘えではなく体の反応として受け止める
  • 寝つけない時に無理に寝かせようとせず、安心できる声かけや対応
  • 日中の活動量や光の取り入れ方(午前中の散歩など)も大切です

まとめ

秋の夜長は、心を落ち着ける一方で、不眠に悩む方にとってはつらさが増す季節でもあります。
眠りは、心と体の回復を支える大切な時間です。環境を少し整えるだけでも、睡眠の質は大きく変わってきます。

訪問看護ステーションharu style・グループホームなつでは、その方の生活スタイルに合わせた現実的でやさしいサポートを心がけ、安心して眠れる夜を共につくっていきたいと考えています。

秋の味覚と食欲:栄養バランスの取り方

~旬の恵みで、心と体にやさしい食事を~

はじめに

「食欲の秋」と言われるこの季節。涼しさとともに食べ物が一段と美味しく感じられ、旬の味覚が食卓を彩ります。

しかし一方で、精神疾患をお持ちの方にとっては、「何を食べたらいいのか分からない」「食べすぎてしまう」「食欲がわかない」といった食に関する悩みが秋にも存在します。

本記事では、秋の味覚を楽しみながら、栄養バランスを保つ食事の工夫について、訪問看護の視点も交えながらご紹介します。

秋におすすめの旬食材とその栄養

1. 主菜の主役:たんぱく質と脂質のバランス

  • さんま・さけ・さば:青魚にはDHAやEPAが豊富。うつ症状や脳の働きを助ける栄養素です。
  • きのこ類(しいたけ、まいたけ、しめじ):低カロリーで食物繊維・ビタミンB群が豊富。腸内環境改善にも◎

2. 副菜に取り入れたい:秋の野菜たち

  • さつまいも・かぼちゃ:ビタミンC、E、食物繊維が豊富で、血糖値の安定や便通改善にも。
  • れんこん・ごぼう:歯ごたえと香りで満足感があり、噛むことで精神的にも落ち着きやすくなります。

3. デザート代わりに:果物でビタミン補給

  • りんご・なし・ぶどう・柿:抗酸化作用・疲労回復・整腸作用など、心身の安定をサポート。
  • 食べすぎには注意しつつ、間食代わりに小皿で楽しむのがポイントです。

食欲のコントロールと栄養バランスの整え方

1. 食べすぎを防ぐ工夫

  • 盛り付けは小皿・一膳分を意識して
  • ゆっくり食べる(1口30回噛む)ことで満腹中枢が働きやすくなります
  • 「空腹を感じたらまず白湯を一口」など、水分を上手に使うのも効果的

2. 食欲がないときは「温かさ」+「香り」で刺激

  • 具だくさんの味噌汁、炊き込みご飯、蒸し料理など、香りと湯気で食欲を引き出す
  • 好きな食材や色合いで食事に楽しさを加える工夫も◎

3. メンタルと腸はつながっている!

  • 精神状態の安定には、腸内環境の良さが大切です
  • 発酵食品(納豆、味噌、ヨーグルトなど)を少量でも毎日取り入れるのがおすすめ

訪問看護の現場でできること

  • ご本人の食事リズムや嗜好、苦手な食材を一緒に整理
  • 「最近、何を食べましたか?」「今、冷蔵庫にあるもので何が好きですか?」などの声かけから日常の栄養状態を把握
  • 栄養失調や過食の兆候が見られる場合は、主治医や栄養士と連携し、食生活改善の支援を行う

ご家族・支援者へのアドバイス

  • 「旬の食材を取り入れる」ことで、食事に季節感が生まれ、話題にもつながる
  • 食事が“負担”にならないよう、一品だけでも手作りを取り入れる工夫がおすすめ
  • 利用者が料理好きな場合は、簡単な調理や盛り付けを一緒に行うことも支援の一環

まとめ

秋は「食」を楽しむ絶好の季節であると同時に、心身のバランスを整えるチャンスでもあります
旬の食材には、自然のリズムに合った栄養がたっぷりと詰まっています。

食べることは、ただ栄養を摂るだけでなく、「生活を豊かにする」「人とつながる」大切な手段です。
訪問看護の中でも、グループホームの生活でも、そうした日々の営みを大切にしながら、心も体も満たす食”のサポートを届けていけたらと思います。

秋の気圧変動と気分の波:メンタルケアのポイント

~「なんとなく気分が落ち込む」に理由があります~

はじめに

秋になると「気分が不安定になる」「朝起きるのがつらい」「やる気が出ない」といった声が多く聞かれるようになります。
その背景には、気温や日照時間の変化だけでなく、「気圧の変動」が大きく関係していることをご存じでしょうか?

気圧の変化は、体だけでなく心にも影響を及ぼします。特に精神疾患をお持ちの方は、気分の波や体調不良が気圧と連動しているケースも少なくありません。

この記事では、秋に起こりやすい気圧変動と気分の関係、そしてその対策とケアのポイントについてご紹介します。

秋の気圧変化がもたらす“心の揺れ”

1. 秋は低気圧が増える季節

  • 秋は台風や秋雨前線などの影響で気圧が大きく変化しやすい季節です。
  • 一日の中でも気圧が上下することがあり、これが自律神経のバランスを乱す原因になります。

2. 気圧が心に与える影響とは?

  • 気圧が下がると、副交感神経が優位になりすぎて眠気やだるさ、頭重感が強くなる傾向があります。
  • 交感神経がうまく働かなくなることで、やる気の低下・抑うつ感・不安感が現れやすくなります。

3. 精神疾患を持つ方は特に影響を受けやすい

  • うつ病:気圧の低下とともに気分の落ち込みが強くなる
  • 不安障害:予期せぬ体調不良がさらなる不安を引き起こす
  • 双極性障害:気分の波が大きくなりやすい
  • 統合失調症:気圧変化による自律神経の乱れで症状が悪化する場合も

気圧変動に負けないためのセルフケアと支援の工夫

1. 「気圧による不調」を知っておくことが第一歩

  • 「気分が落ちるのは天気のせいかも」と意識するだけでも、必要以上に自分を責めない気持ちが生まれる
  • アプリ(気圧予報など)を活用し、「今日は無理をしない日」と決めるのも一つの工夫

2. 自律神経を整える生活習慣を意識

  • 規則正しい生活(起床・就寝・食事・服薬の時間を一定に)
  • 朝の光を浴びてリズムを整える(曇りの日でもカーテンを開ける)
  • 適度な運動(ウォーキング、ストレッチなど)で気分を安定させる
  • 湯船に浸かる、腹式呼吸をするなど、リラックスできる時間を意識的に確保する

3. 訪問看護でできる支援

  • ご本人の気分や体調の変化を天気や気圧と照らし合わせて共有
  • 気圧の変化が続く時期には、「無理しない」「頑張りすぎない」ことを肯定する声かけ
  • 生活リズムの乱れが出ていないか、日誌やスケジュール表の活用で可視化する
  • 必要があれば、主治医に症状の季節変動を報告し、治療や服薬の見直しも検討

ご家族や支援者にも知ってほしいこと

  • 気圧や天候が精神状態に影響することは甘えや気のせいではありません
  • 「また気分が落ち込んでいる…」ではなく、「今日は気圧が下がっているから無理しないでね」と声をかけるだけでも違います

まとめ

秋は気温・日照・気圧と、心と体に影響を与える要素が一度に訪れる季節です。
気圧の変動によって気分が乱れるのは誰にでも起こりうる自然な反応です。
だからこそ、日々の小さな体調変化や心のサインに気づき、自分をいたわる時間と環境を整えることが大切です。

訪問看護ステーションharu style・グループホームなつでは、その方のリズムに寄り添いながら、「安心して秋を過ごす」ためのサポートを続けていきたいと考えています。

【ご挨拶】グループホームなつは開設4周年を迎えました

~皆様の支えとともに歩んだ4年間、心からの感謝を込めて~

こんにちは。
いつもグループホームなつをご支援いただき、誠にありがとうございます。

おかげさまで、私たちグループホームなつは令和7年9月に開設4周年という節目を迎えることとなりました。
この日を迎えることができましたのは、ひとえに日頃から温かく見守り、力強く支えてくださる皆様のおかげです。心より御礼申し上げます。

開設から4年。これまでのあゆみ

「いつもそばに あなたの心に届けたい安らぎ」。
この想いを胸に、私たちは4年前、グループホームなつの第一歩を踏み出しました。

手探りの中でのスタートではありましたが、利用者様お一人おひとりの笑顔、地域の皆様からのあたたかな声援、そしてご家族のご理解とご協力に支えられながら、歩みを進めてまいりました。

この4年間、多くの方が「ここでの暮らし」を新たなスタートとして、少しずつご自身のペースで日常を築かれてきました。
その姿に、私たちスタッフはたくさんの勇気と学びをいただいています。

皆様への感謝の気持ち

グループホームという場所は、地域とつながってこそ、初めて“居場所”として成り立つものです。
地域の皆様、医療・福祉関係機関の方々、そしてなにより利用者様とそのご家族に、心より感謝申し上げます。

日々の暮らしを支えるなかで、私たちもまた、多くの支えをいただいてきました。
その一つひとつが、今日のグループホームなつを形づくる礎となっています。

これからの私たちについて

5年目を迎えるこれからは、より安心・より快適な生活の場を目指し、サービスの質をさらに高めてまいります。

利用者様の目線に立った支援を大切にし、今までの経験を土台としながら、柔軟な発想で新しい取り組みにも挑戦していく所存です。

「ここに来てよかった」と思っていただける場所であり続けるために、私たちは一歩ずつ、着実に歩んでまいります。

結びに

4周年を迎えられたことは、私たちにとって大きな喜びであり、励みでもあります。
そして、この喜びを皆様と分かち合えることが、何よりの幸せです。

これからも、グループホームなつは利用者様と地域に寄り添いながら、あたたかく、丁寧な支援を心がけてまいります。
今後とも、変わらぬご指導・ご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

令和7年9月
グループホームなつ スタッフ一同

“夏休み”が引き起こす生活リズムの崩壊

〜家庭内でのストレスと支援のポイント〜

はじめに

子どもたちにとっては楽しみな「夏休み」。しかし、精神疾患を抱える方やそのご家族にとっては、生活リズムの乱れや家庭内のストレスを引き起こす要因になることがあります。

訪問看護の現場でも、

  • 「子どもがずっと家にいて生活音が気になる」
  • 「生活リズムが崩れて、昼夜逆転してしまった」
  • 「家族との距離が近すぎて疲れてしまう」
    といった声が聞かれます。

この記事では、“夏休み”という非日常がもたらす心と生活への影響を理解し、訪問看護の中でできるサポートのポイントをお伝えします。

夏休みがもたらす生活の変化

1. 家族の在宅時間の増加

  • 子どもやパートナーの在宅時間が長くなり、普段の静けさがなくなる
  • 食事・洗濯・掃除など家事負担の増加により、ストレスや疲労感が蓄積

2. 生活リズムの乱れ

  • 子どもに合わせて起床時間が遅くなり、ご本人の生活リズムまで崩れてしまう
  • 「家族が寝てからでないと自分の時間が取れない」と、夜更かし・昼夜逆転になるケースも

3. 心の距離が近すぎて起こる摩擦

  • 普段以上に顔を合わせる時間が長くなることで、小さなことで口論になりやすくなる
  • ご本人が家族の声や行動に対して過敏になることも

生活リズムの崩れが精神状態に与える影響

  • 睡眠時間や食事時間が不規則になることで、気分の波や意欲の低下が強くなる
  • 服薬のタイミングがずれ、薬の効果が安定しなくなる
  • 「何もできていない」という自己否定感が増し、抑うつ状態やイライラ感が悪化する可能性も

訪問看護での支援のポイント

1. 「非日常」の中で、少しでも「日常」を保つ工夫

  • 毎朝の起床・服薬・食事などのタイミングを可能な範囲で固定化する
  • スケジュール表やタイマーなどを使い、「次に何をするか」を視覚化するのも効果的

2. 家族との“ちょうどよい距離”を提案

  • 「1人で過ごす時間も大切」と伝え、無理に合わせすぎないよう助言
  • 家族にも「疲れてしまうのは悪いことではありません」と安心感を持ってもらう声かけ

3. 過剰な刺激・活動量の調整

  • 外出やお出かけ、学習など、「やらなければ」というプレッシャーを和らげるサポート
  • 誰かと一緒にいる時間が長すぎると疲弊することも。静かな時間の確保を優先

ご家族へのアドバイス・支援

  • 夏休みは「うまくいかなくて当たり前」と期待値を下げることで、気持ちが楽になります
  • 「何をしてほしいか」「してほしくないか」をご本人と一緒に話し合う場をつくる
  • 「少しのストレスは避けられない」と共有し、感情の逃がし方やサポート先(訪問看護など)を明確に

まとめ

“夏休み”という季節の変化は、家庭内の環境や精神状態に見えない影響を与える時期です。
訪問看護では、「非日常の中に日常を取り戻す」ための工夫と、「家族とのちょうどよい関係性の維持」を支えることが大きな役割です。

ご本人もご家族も「この時期を無理なく乗り越える」ことを目指して、必要な支援をさりげなく届けていきましょう。

夜間の不安・過覚醒にどう寄り添うか

〜暑くて眠れない利用者への対処法とケアのヒント〜

はじめに

夏の夜、「暑くて眠れない」「頭が冴えて寝つけない」といった声を聞くことはありませんか?

気温が下がりにくい熱帯夜は、ただでさえ眠りにくいもの。特に精神疾患をお持ちの方は、寝つきが悪いことによる不安や焦り、過覚醒状態(神経が高ぶったまま眠れない状態)が強くなり、翌日の気分や体調にも悪影響を及ぼすことがあります。

この記事では、「夜間の不安」「暑さによる睡眠障害」「過覚醒」への理解と、訪問看護の視点からできる支援方法をご紹介します。

「過覚醒」とは何か? なぜ起きるのか?

1. 暑さによる体温調節の乱れ

  • 就寝時に深部体温が下がることが“自然な眠気”を誘導するメカニズムですが、真夏はこの体温低下が起こりにくく、眠りに入りづらくなります。

2. 神経過敏状態の維持

  • 「寝なければ」と思うことで逆に緊張状態が続き、交感神経が優位になり、心拍数が上がり、さらに眠れないという悪循環に。

3. 精神疾患と過覚醒の関係

  • 不安障害:就寝前に「明日のことが心配」「このまま眠れなかったらどうしよう」といった思考が止まらなくなる
  • うつ病:疲れているのに眠れない。夜になると気分が落ち込む「日内変動」が強くなる
  • 統合失調症:幻聴・思考過多が夜間に強まるケースもあり、眠れない原因に

夜間の“眠れない不安”がもたらす影響

  • 翌日の活動意欲の低下、気分の落ち込み、食欲不振
  • 「また眠れないかも…」という不安で生活リズムが崩れる
  • 孤独感や焦燥感が強まり、過剰な服薬や不適切な対応行動につながる可能性も

訪問看護での具体的な支援ポイント

1. 昼間の関わりで「夜」の不安に備える

  • 「昨日は眠れましたか?」と日中の訪問時にさりげなく聞く習慣
  • 睡眠記録表を活用し、眠れた日の共通点やリズムの変化を把握

2. “眠れなくても大丈夫”という考え方を伝える

  • 「布団に入っているだけでも体は休まりますよ」
  • 「眠ろうと頑張りすぎないことが大切です」など、安心感を与える声かけが重要

3. 眠りを誘う夜の習慣を提案

  • 就寝前のルーティン(読書・アロマ・ぬるめのお風呂・深呼吸)を整える
  • 寝具を冷感素材に替える・エアコンや扇風機を工夫して快適な温度を保つ
  • 明かりを落とし、スマホやテレビの光を避ける(ブルーライト対策)

ご本人と一緒にできる工夫

  • 水分摂取のタイミングを見直す(就寝直前ではなく、夕方までにこまめに補給)
  • 「寝つけなければ、一度起きて別のことをする」という無理に寝ようとしない工夫も効果的

ご家族・支援者へのアドバイス

  • 「夜中に起きても慌てず対応を」「声かけは短く静かに」「安心感を伝えるだけで十分なこともある」
  • 睡眠薬や抗不安薬の過剰服用を防ぐための服薬管理を一緒に行うことも大切

まとめ

眠れないことは、それ自体がつらい体験です。
特に夏の夜は「暑さ」と「孤独感」「不安」が重なり、精神的な負担が大きくなる季節です。

訪問看護では、日中の関わりの中でその夜を想定したサポートを行い、「眠れなかったとしても安心して翌日を迎えられる環境づくり」が求められます。

“夜の不安に、昼から寄り添う”――そんなケアの姿勢が、利用者の心に届く一歩になりますように。

脱水と精神状態の関係:水分不足が引き起こす“心の不調”に気づく

〜「熱中症」だけではない、心の不調としての“脱水”に要注意〜

はじめに

夏の定番ワードといえば「熱中症」。その予防として“こまめな水分補給”が推奨されますが、実は、水分不足は身体だけでなく「心」にも深く関係していることをご存じでしょうか?

精神疾患をお持ちの方や高齢の方は、脱水に気づきにくく、重症化しやすい傾向があります。さらに、軽度の脱水状態でも、気分や思考、行動に影響が出ることがあるのです。

この記事では、脱水と精神状態の関係、そして訪問看護の現場で実践できる見守りや声かけの工夫についてご紹介します。

脱水がもたらす“心の不調”とは?

1. 集中力・判断力の低下

  • 体内の水分が不足すると、脳の働きが鈍くなり、集中できなくなることがあります。
  • 「ぼーっとする」「会話の理解が遅くなる」「返答が曖昧」などの変化が見られたら要注意です。

2. 気分の落ち込み・不安感の増加

  • 軽度の脱水でも気分が落ち込んだり、イライラや不安が増幅することがあります。
  • 特にうつ病や不安障害のある方は、いつもより症状が強く出る可能性も。

3. 幻覚・錯乱・せん妄の引き金に

  • 高齢者や統合失調症の方では、脱水がきっかけで幻覚や混乱、せん妄状態になることもあります。
  • 「急に話がかみ合わない」「場所や時間が分からなくなる」などのサインは脱水の疑いあり。

なぜ精神疾患のある方は脱水に気づきにくいのか?

  • 服薬による発汗・排尿の変化(例:抗精神病薬・抗うつ薬など)
  • 自発的な飲水の習慣が少ない(「のどが渇いた」と感じにくい)
  • 意欲や気力の低下により、水を飲む行動が減る
  • 一人暮らしや高齢で、見守りが不十分な環境にある

訪問看護で実践できるチェックと工夫

1. 「のどが渇いていない」でも要注意

  • 利用者が「大丈夫」と答えても、皮膚の乾燥・舌の状態・尿の色や回数などを観察
  • 「1日にどのくらい水分を摂っていますか?」という質問ではなく、実際の行動を尋ねる(例:「今日、何を飲みましたか?」)

2. 水分補給を“習慣”にする提案

  • 目につくところにペットボトルやコップを常備
  • 服薬や食事のタイミングにセットで飲水の声かけ
  • 1日目標量(例:1.5L)を見える化して貼っておくのも効果的

3. 飲みやすい形での工夫

  • お茶や水が苦手な方には麦茶、スポーツドリンク、ゼリー飲料も活用
  • 冷たすぎるとお腹が痛くなる方には、常温の水や白湯も選択肢に
  • 氷や果物を加えて“楽しい飲み物”にする工夫も◎

ご家族・支援者への共有ポイント

  • 「脱水は心にも影響する」という事実をご家族にも理解してもらうことが大切
  • 暑さだけでなく、エアコンの効きすぎによる“隠れ脱水”もあることを伝える
  • 高齢の方の場合、水分を控える習慣(夜間頻尿の恐れなど)があることも念頭に置く

まとめ

水分不足=熱中症というイメージが強いですが、実は「心のバランス」にも影響を与える静かなリスク要因です。
訪問看護の中で、「気分が落ち込んでいる」「調子が悪そう」と感じた時、“脱水”という視点を持つことが予防につながります

その一杯の水が、利用者の心と体を支える大切なケアになるかもしれません。